大会長挨拶
第17回日本音楽医療研究会学術集会の大会長を務めさせて頂きます、聖マリアンナ医科大学放射線治療学教室岡田幸法と申します。本研究会には数年前に初めて参加させて頂きました。発表や講演の内容に大変感銘を受け,それ以降音楽療法について勉強させて頂いておりました。自分の若輩者にこのような大役を頂きましたことについて前学会長佐藤先生並びに会員の皆様に改めて感謝申し上げます。
私は放射線科医、特に放射線治療医として大学病院に勤務しております。放射線医学と音楽療法は関連性が薄いように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昨今放射線医学や放射線治療において音楽療法に関する論文が報告されれるようになってきております。一つは音楽を聴いたときに脳のどの部分が活性化するか、更に心理にどのような影響を生じるかという画像診断を用いた検討です。もう一つは放射線治療に関する検討です。放射線治療を受ける患者さんの大部分は悪性腫瘍に罹患しています。音楽療法は患者さんの不安を改善し、連日続く治療を適切に遂行するためにも有用であるということが海外からの論文から示されてきています。
放射線医学ではX線、CT、MRI、超音波、核医学、放射線治療など物理を背景にした技術を臨床応用しながら、患者さんとの間に人と人としての関係を構築して診療を行います。一方、音楽療法では音という物理的現象を用いながら、患者さんの心に働きかけて医療を行います。
今回 音楽療法:アートとサイエンスの融合 というテーマに致しましたが、その背景には物理現象や最先端の技術と人の共演がよりよい医療につながっていくのではないかという思いがあります。医療従事者もコロナの中、音楽により心を癒された人もいると思います。なぜ単なる物理現象である音が多くの人の心に働きかけ、長い人類の歴史の中進歩を遂げてきたのか?この点についても再度検討ができればと考えています。
コロナウイルス感染症は依然予断を許しませんが、社会状況の変化に伴い今回は現地とWEBのハイブリッドにより開催することに致しました。久しぶりに現地で顔を合わせてお話できることでより活発な議論が頂けるかと思います。他方、WEBには日本中どこからでも日常の合間から参加することができるという利点が存在します。今回両者の利点を最大限生かすことができればと考えています。
現在の医療はチーム医療が基本となっています。音楽療法においても医師に加え音楽療法士など様々な職種の人の参画が不可欠です。一方、音楽療法を確立するためには科学的手法を用いた検証が必要です。今回の研究会をきっかけに各職種の専門性を生かしながらより音楽療法を発展させていければと考えています。
皆様のご参加をお待ちしております。
2023.11.19
聖マリアンナ医科大学 放射線治療学講座
准教授 岡田幸法